宗像市では市立中学校の部活動の地域移行をすすめています。令和5年度より休日部活の移行「むなかたアカデミークラブ(スポーツ10種目)」を開始し、令和6年度より文化部(吹奏楽部)を含めて全16教室が開催されています。
令和5年12月議会にて、まだ対応が発表されていなかった文化部の地域移行について吹奏楽部を中心に一般質問を行いました。部活動指導員、外部指導者の確保、報酬予算の確保、吹奏楽部であれば音楽室など学校施設の開放の範囲を広げることなども検討する必要があるとの答弁がありました。引き続き、少子化の中、将来にわたり子供たちが文化芸術、スポーツ、武道等に継続して親しむことができる機会の確保に向けてに取り組んでいきたいと思います。
学校部活動の地域クラブ活動への移行について
中学校が「部活動」が「地域クラブ活動」に移行します。
地域クラブ活動(市主催・むなかたアカデミークラブ)の紹介
「むなかたアカデミークラブパンフレット」より引用(令和6年度より吹奏楽が新設)
宗像市立中学校等の部活動の地域移行に向けたロードマップ(宗像市公式サイトより)
令和5年第4回宗像市議会定例会会議録より(令和5年12月7日時点での市の答弁となります。)
文化庁「文化部活動の地域移行に関する検討会議」の提言「少子化の中、将来にわたり我が国の子供たちが文化芸術に継続して親しむことができる機会の確保に向けて」によると、「中学校等の吹奏楽、合唱、美術・工芸、演劇、自然科学、パソコンなど多岐にわたる文化部活動は、これまで生徒の文化芸術等に親しむ機会を確保し、生徒の自主的・主体的な参加による活動を通じて、達成感の獲得、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するとともに、自主性の育成にも寄与するものとして、大きな役割を担ってきた。また、学校教育の一環として行われる文化部活動は、異年齢との交流の中で、生徒同士や教師と生徒等の人間関係の構築を図ったり、生徒自身が活動を通して自己肯定感を高めたりするなどの教育的意義だけでなく、参加生徒の状況把握や意欲向上、問題行動の発生抑制など、学校運営上も意義があった。さらに、生徒や保護者から学校への信頼感を高めることや、学校の一体感や愛校心の醸成にも大きく貢献してきた。あわせて、文化芸術の「楽しさ」や「喜び」を味わい、生涯にわたって芸術や芸術文化に豊かに関わる資質・能力の育成などの意義も有してきた。一方で、こうした学校の文化部活動や運動部活動を巡る状況については、近年、特に持続可能性という面でその厳しさを増している。(中略)中学校等の部活動においては、休日も含めた部活動の指導や大会への引率、運営への参画が求められる点など、教師にとって大きな業務負担となっている実態も見過ごすことができない。」とある。
そこで、市立中学校文化部活動の地域移行について、以下質問する。
質問(1)現在、市立中学校にはどのような文化部活動があるのか。また、地域移行の考え方は。
答弁(1)市立中学校の文化部活動と地域移行の考え方についてでございますが、市立学校の文化部には、吹奏楽部、美術部、家庭科部、技術部、放送部があります。また、地域移行の進め方については、基本的に運動部と変わりはなく、休日の学校部活動から段階的に地域クラブ活動に移行することとしております。
質問(1)②まず週末からということだが、平日の移行に関しては今の時点ではどのように考えているのか。
答弁(1)②国のガイドラインの中では、平日の環境整備はできるところから取り組み、休日の取組の進捗状況等を検証し、さらなる改革を推進するという言い方をされています。市としましても、休日の取組状況や生徒、保護者の意向、こういったものを確認をしながら、関係者に参加いただいている部活動改革推進協議会で議論を行っていきたいと考えております。
現時点で、平日の意向をいつまでにどういうふうにしていくということは具体に申し上げられないところがありますが、保護者や地域の皆さんにこの見通しを知っていただくという意味でいえば、速やかな方針立ては必要なのではないかと考えております。
質問(2)文化部活動の部活動指導員及び外部指導者の状況は。また、今後の考え方は。
答弁(2)文化部活動の部活動指導員及び外部指導者の状況についてお答えいたします。
学校の外部から招聘する指導者のうち、単独で指導や引率を行うことのできる部活動指導員は中学校全体で8人の方が活動していらっしゃいますが、全て運動部のほうで活動されている状況でございます。
また、外部指導者のほうは中学校全体で28人の方が活動されており、このうち文化部活動の指導者は二人で、吹奏楽部と美術部でお一人ずつ活動されています。
部活動指導員や外部指導者の配置については、毎年行われる教職員の人事異動の結果や指導経験のある教職員が学校に在籍しているかなどの状況を考慮しながら、毎年、年度当初に学校からの要望に応じて配置しているところでございます。引き続き学校側のニーズに応じて、部活動指導員や外部指導者の配置に努めてまいります。
質問(2)②顧問の先生の代わりに担っていただく部活動指導員、外部指導者確保の課題は。報酬の確保は。
答弁(2)②学校部活動の地域クラブ活動への移行については、繰り返しになりますが、段階的に進めていくことになるわけでございますが、当面は、部活動指導員、それから外部指導者を確保していくということが子どもたちのよりよいスポーツ・文化芸術活動の機会を確保することにつながりますので、これを進めていく必要があると考えておりますし、あわせて従来の教職員の皆さんの負担軽減にもつながると考えております。
市内には様々なスポーツ・文化芸術活動の指導ノウハウをお持ちの方が多数いらっしゃると考えておりますが、部活動外部指導員、それから外部指導者については、その中で平日の夕刻の時間帯に中学生を指導できる方にお願いするということになってまいります。
引き続き様々な関係団体や個人の方にも案内していくということはもちろんですけども、近年は交代制勤務などを取る企業も出てきているところでございます。そういった中には、部活動指導員などをできる方もいらっしゃるんじゃないかと思っております。
そういうことで、いろんな形で働きかけを行っていくとともに、専門的な指導に関する研修的なものを検討をしていく必要があるのではないかと考えております。
あわせまして、最後の御質問の報酬等に関しましても必要な予算措置を講じていきたいと考えております。
質問(3)「中学生も参加できるスポーツ・文化芸術活動団体リスト」が作成されているが、現在の登録状況は。また、今後どのように活用していくのか。
答弁(3)中学生も参加できるスポーツ・文化芸術活動団体リストの登録状況と今後の活用についてお答えいたします。
本リストは、11月から市のホームページ等を通じて情報収集するなど、その作成を開始したところでございます。本市では従来から様々なスポーツ・文化芸術活動が活発に行われています。このうち、中学生が参加できる活動情報を集約するとともに、団体の側においてはこれを機に中学生の受入れを拡大するなど、活動の活性化につなげていただくことも狙いとしたものでございます。
情報の取りまとめを始めたばかりではありますが、11月末日時点でスポーツ団体31団体、文化団体2団体、その他1団体という状況でございます。随時、ホームページ上で情報を更新し、年明けをめどに学校を通じて、児童生徒や保護者の皆様に情報提供を行いたいと考えております。
質問(3)②学校の部活動とのすみ分けは。どのような位置づけか。
答弁(3)②中学生も参加できるスポーツ・文化芸術活動団体は、専門性を持つ地域の指導者が地域の子どもたちを指導する地域クラブ活動を行う団体のリストでございます。学校部活動と同様の活動を地域で行う団体もありますし、ラグビーやダンス、硬式野球、あるいはプログラミングとか、漫画とかイラストとか、こういう学校部活動にない活動を行う団体もございます。
地域移行を進めるに当たりましては、多様なスポーツ・文化芸術活動の選択肢を子どもたちにお示しできるようにということに努めてまいりたいと考えております。
質問(4)人数が多く、運搬が困難な楽器も使用する吹奏楽部の地域移行はどのように考えているのか。
答弁(4)吹奏楽部の地域移行についてお答えいたします。
市立中学校部活動全体の中で、吹奏楽部は陸上部、卓球部に次いで3番目に部員数が多い部活動になります。活動したい人数に応じ、地域クラブ活動の数や十分な受入環境整備が必要であると考えております。また、議員御指摘のとおり、大型の楽器の運搬などが容易でないという課題もございます。
地域クラブとして吹奏楽の活動の場を増やしていくに当たり、活動拠点を中学校とすることや地域クラブ活動の拠点となる場所に大型の楽器をあらかじめ準備するなど、大型楽器の運搬に配慮した取組が求められていると考えております。
質問(4)②吹奏楽部に関して、移動が大変だということであるが、中学校の校舎で行う地域クラブ活動については可能であるのか、それについての課題は。
答弁(4)②地域クラブが活動するに当たっての活動の場所に関することだと思います。現在も学校教育に支障のない範囲で体育館や武道場など、学校施設の開放事業をやってきております。地域クラブの活動が活発になってくるにつれまして、開放の範囲を広げることなども検討する必要があると考えております。例えば吹奏楽部であれば、音楽室というのも一つあろうかと思います。
課題に関する御指摘がありましたが、鍵の管理の問題、それから備品の貸出管理の問題、こういったものがあるとは思いますけども、ルールを決めて一つ一つ整理をしていくということを進めていけたらと考えております。
質問(5)市主催の地域クラブ活動である「むなかたアカデミー教室(スポーツ10種目)」が行われているが、文化部活動についてはどのように考えているのか。宗像ユリックスを拠点とした吹奏楽団等地域クラブの創設について検討できないか。
答弁(5)運動部活動の地域移行につきましては、令和4年度から国の実践研究の中でモデル的に取り組んできたこともございまして先行している現状がございます。この中でスポーツの地域クラブ活動の一つであるむなかたアカデミー教室は、グローバルアリーナに各種目において実績のある指導者を招いて、市内の希望する中学生により高度な指導を受けることができる機会を提供しています。
文化部活動においても同様のことが考えられます。例えば吹奏楽部であれば、宗像ユリックスにおいて楽器ごとにより高度な指導を受ける機会をつくる。美術部であれば、美術のジャンルごとに専門家を招いてより高度な指導を受ける機会をつくるなど、スポーツ同様のアカデミー教室の開催が可能と考えています。
吹奏楽につきましては、地域移行と併せて宗像ユリックスにおいてアカデミー教室ができないか検討中でございますが、他の文化部活動についても今後検討を行います。
なお、宗像ユリックスを拠点とした吹奏楽団等地域クラブの創設につきましては、生徒の移動、楽器の運搬等の課題があるものの、今後検討を行ってまいります。
質問(6)ふるさと寄附金のうち使途を「文化芸術又はスポーツの振興」に指定されている金額はいくらか。そのうち文化芸術の振興にはどのように使われているのか。また、文化部活動の振興、地域移行に活用できないか。
答弁(6)ふるさと寄附金のうち、使途を文化芸術またはスポーツの振興に指定されている金額ですが、令和4年度は319万3,000円です。令和4年度のふるさと寄附金は文化芸術の振興には使っておらず、全てスポーツの振興に支出しております。
次に、ふるさと寄附金を文化部活動の振興、地域移行に活用できないかとの御質問ですが、文化部活動の振興、地域移行につきましては市の文化芸術の振興施策においても重要な事業と位置づけております。このため、ふるさと寄附金がなくても着実に事業を進めていく所存でございます。
質問(6)②ふるさと寄附金の使途を「文化芸術又はスポーツの振興」とされたものは、ここ3年スポーツにしか使っていない。「文化芸術の振興」を考えて寄附されたものは、「文化芸術の振興」に使うべきではないか。
答弁(6)②ふるさと寄附の趣旨等については、今回寄附された方の御意向は文化芸術、またはスポーツということで、その中のちょっと仕分ができていないところでございます。実際寄附された方には、文化のほうにも使っていただきたいというような意向がある方も中にはいらっしゃるかと思いますが、宗像市の現状といたしまして、例えば文化スポーツ課の予算を確認しますと、文化芸術の使途に使っているのが今年度の当初予算で5億円程度の予算がついております。
一方、スポーツ関係の予算でいきますと、今年度当初予算で、1億2,900万円ぐらいということで、現状、ちょっとスポーツのほうの予算が薄いような状況もございまして、今スポーツのほうに使わせていただいているというような状況でございます。
御指摘の点については、例えば単年度で文化芸術に係る事業とかイベントを実施する際に検討させていただければと思います。