令和6年4月24日、人口戦略会議は「令和6年・地方自治体『持続可能性』分析レポート―新たな地域別将来推計人口から分かる自治体の実情と課題―」を発表しました。宗像市の2050年人口(移動想定)は86,259人、同(封鎖人口)は81,537人、自治体の人口特性別9分類(自然減対策と社会減対策)では「Dその他の自治体」のうち「D-①自然減対策が必要」に分類されている。「C消滅可能性自治体」ではないものの、「A自立持続可能性自治体」にはなっていません。
また、4月26日に読売新聞社は「人口減の抑制は総力で…若者・家庭を支える社会に」として「結婚から育児 切れ目なく支援」「若者が希望を持てる賃上げ」「多様な働き方選べる社会に」「住み続けたい地域づくり」等7項目の対策を提言として発表しました。これらを踏まえ、宗像市は人口減少社会・少子化対策にどう取り組むのか、一般質問を行いました。
令和6年第2回宗像市議会定例会発言より(執行部答弁)
(1)分析レポートや関連報道についてどのように受け止めているのか。
令和4年に、私(伊豆市長)の2期目となる4年間のまちづくりを進めるに当たって、全ての取組の最終目的を定住都市宗像の実現と定めました。様々な定住施策の取組から、これまでのところ、宗像市の人口は大きく減少していないところであります。
さて、議員御紹介の分析レポートは、10年前に消滅可能性都市というフレーズで、自治体の持続可能に警笛を鳴らした内容を最新データで再分析した内容であるかと思います。
今回の分析結果では、福岡県内8団体を含む全国で744もの自治体が、消滅可能性があると発表されています。前回に比べて、該当する自治体が減少したことは、全国の市町村の人口対象減少への表れであると受け止めています。
また、分析レポートでは、ブラックホール型自治体という言葉が新たに示されました。大都市圏への人口集中が出生率の低下を招き、人口減少の大きな要因になっているということを表した言葉であります。
その中で、現在のこんな現状の中で、宗像市においても、若年層を中心に、関東・関西圏への人口流出が大きな課題になっていることから、それをいかに食い止め、宗像市の若年層の人口を維持することが重要であると考えています。
宗像市では、これまでに子育て世帯をターゲットとした住宅取得等の補助制度や、ライフスタイルの変化を捉えた2地域居住体験ツアーの実施などの定住・移住施策を展開し、一定の効果を上げてきたと思っています。
令和6年度は、これらの取組に加え、人への投資を重点施策とし、新たに奨学金返還や、移住を支援する制度を設けるほか、あわせて雇用や就業の機会拡大、職場環境の改善など、働きやすく生活しやすいまちづくりを進めてまいります。こうした取組を通して、宗像市に住んでいる方の生活の質の向上、満足感の向上を図っていくことが、宗像市の人口を維持していく上で大変重要であると考えています。この宗像に住みたい、住み続けたいと感じていただけるよう、引き続き定住政策に取り組んでまいりたいと考えています。
(2)2050年の人口をどのように予測し、どのような対策を行うのか。
現在市では第3次宗像市総合計画の策定を進めており、10年後の宗像市の人口についても議論を行っているところです。
その際に参考とするのは、昨年12月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した地域別将来推計人口であり、先ほど委員が御質問の中で触れられた、宗像市の2050年将来推計人口と同じ資料でございます。
今後、市ではこれらの資料に加え、独自に税収への影響や地域ごとの人口推移、周辺自治体の動向の分析などを行い、中長期の見通しを立て、安定的な行財政運営を保ちながら、人口の変化で生じる社会情勢の変化に対応してまいりたいと考えています。
(3)「住み続けたい地域づくり」のためにどのような対策を行うのか。また、どのように周知・広報活動を行うのか。
議員紹介の読売新聞社の提言の一つである、住み続けたい地域づくりの内容は、宗像市の令和6年度の重点施策であります人への投資に通じるものであると考えます。宗像市内での雇用や就業機会の拡大を図り、職場環境の改善を図るなど、働きやすく生活しやすい環境づくりを進め、宗像に住みたい、住み続けたいと感じられる地域づくりを進めてまいります。
また、周知・広報活動については、広報紙や日々のSNS等による情報発信のほか、中長期的な視点から、私立学校の児童・生徒や、市内在住の高校生や大学生等に対して、機を捉えて地元の魅力や地元企業の認知拡大を図る取組を進めてまいりたいと考えています。
(4)若者・子育て世帯に対して「結婚から育児 切れ目なく支援」等のためにどのような対策を行うのか。
読売新聞社の提言では、若者の経済的負担の軽減や子育て世帯の住環境整備への支援等が挙げられています。宗像市においても、本年度から始まる若者をターゲットとした奨学金返還支援制度や、子育て世帯を対象とした住宅購入支援等様々な経済的支援を行うほか、病児保育の充実や学習環境の充実、様々な相談窓口設置等多様な若者・子育て世帯の支援を行っています。
昨年12月に取りまとめられた、こども未来戦略等国の動向を注視しながら、引き続き若者・子育て世帯への支援の取組を行い、少子化対策を進めてまいりたいと考えています。
(5)高齢者が安心して住み続けることができるようにどのような対策を行うのか。また、利便性が高い地域の賃貸住宅への住替え、子育て世帯との同居、子育て世帯への近居等の住替えに関する施策は。
人口減少社会では、様々な分野で人材の確保が課題となっていますが、高齢者の皆さんが安心して住み続けられるよう介護人材の確保も一つの課題であります。
令和6年度の重点施策である人への投資の取組として、介護サービス事業所による介護人材の確保、資格の取得及び更新等に対する支援を強化し、将来にわたるサービス確保につなげ、高齢者が安心して住み続けることができる取組を進めているところです。
また、住み替えに関する施策として、本市に移住する親世帯とその子世帯が3世代同居する際に必要な住宅取得等を支援する3世代同居住宅支援補助金を実施しているところです。この取組は3世代同居を促進し、共に家事や子育て、介護等について協力を得やすい環境を整えることを狙いとしたものです。
(6)大島、地島の離島振興のため、どのような対策を行うのか。
離島における人口減少・少子化対策につきましては、離島振興計画の取組基本方針に定めているとおり、基幹産業の水産業でつくり育てる漁業の推進や特産品の開発支援などを行いながら、島の資源を生かした観光事業や、デジタル技術を活用した勤務地に捉われない職種の誘致など、新たな産業の活性化に取り組んでいます。
その中で、外部の人材の積極的な活用を図りながら、交流人口、関係人口の増加を図ることで、移住・定住につなげてまいりたいと考えます。
今年度大島で行います保育園留学につきましては、そういった勤務地にとらわれない職種の方々に、お子さんと共に一定期間島の暮らしを体験してもらいながら、交流関係人口の増加を目的としています。
(7)「若者が希望を持てる賃上げ」「多様な働き方選べる社会に」等、雇用対策は定住施策として重要であると考える。令和5年9月議会一般質問で福岡労働局との雇用対策協定締結を提案したが、その後の状況は。
現在福岡労働局との協定締結に向けた協議を重ねているところでございます。宗像市が抱える課題の整理や、労働局へ協力を求める内容、市と国が一丸となって進める具体案などの整理を進めているところです。
現在庁舎内には宗像市ふるさとハローワークがあり、就職に関する相談や職業紹介などで市民の就職活動の支援を行っています。
また、先日はハローワーク福岡東の後援をいただき、保育所や認定こども園、幼稚園等への就職希望者を対象に、宗像保育フェアを開催いたしました。
今後、より密接な連携の下に、効果的、一体的な施策を展開していけるよう、協定締結に向けた作業を進めてまいりたいと考えています。