今、東京都知事選挙の真っ最中です。今回の都知事選挙は事前運動やポスター掲示板等で公職選挙法が注目されていると感じます。自分自身が立候補して議員をやっていますし、他の方の市議会議員選挙、市長選挙や県議会議員選挙等に何度も関わりましたので、人一倍公職選挙法を調べて選挙違反なく、公正な選挙を行えるように意識していました。しかし、これほど「書いてあることと実態が違う」「本音と建前」みたいな思いをするものはないだろうと思います。
「選挙運動」は告示日に届出が受理されてから始まります。候補者が名前のたすきをかけて、選挙カーで走り回ることができるのはこの期間だけです。しかし、実際の選挙で大事なのは告示日の前日までの「政治活動(後援会活動)」になります。候補者の名刺やチラシ、ビラなどがポストに投函されることもあるかと思いますが、この「政治活動」期間のものは「選挙や投票について」は書かれていないと思います。これは事前運動にあたるからです。政治活動としての街頭演説は可能ですが、特定の選挙に言及することや投票の依頼は当然できません。これができるのは告示後の選挙期間中のみです。
今回は同一政党からの大量立候補に伴うポスター掲示板の枠の不足、ポスター掲示板の枠に全く関係ないポスターが張られたこと(実質的な枠の販売)、公序良俗に反するポスターの掲示等、様々の問題が露呈しました。これまで性善説で成り立っていたものが、違反しなければ何をやってもいいという感覚に蹂躙されている感じがします。
議会での取り組みでは障がいのある方、高齢者の方など、どなたでも投票に行ける環境づくりについて取り組んでいます。民主主義の根幹に関わる選挙は公正、公平に行われなければいけません。そういう思いを改めて強く感じることになりました。
参考・引用 NHK みんなの選挙
令和4年第3回宗像市議会定例会会議録より
誰もが参加できる公正・公平でバリアフリーな選挙を
公職選挙法の目的には、「日本国憲法の精神に則り、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を公選する選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする。」とある。我が国は国民が主権を持つ民主主義国家であり、選挙は私たち国民が政治に参加し、主権者としてその意思を政治に反映させることのできる最も重要かつ基本的な機会である。
しかしながら、障がいのある方、障がいのある方をサポートする方から、選挙の内容や投票のやり方が分かりづらいとの声を聞いている。誰もが平等に選挙に参加することができるよう、以下について伺う。
質問(1)公職選挙法に「その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し」とあるが、本市の対応は。
答弁(1)公職選挙法に基づく市の対応についてですが、選挙を公正かつスムーズに行うため、市では選挙管理委員会事務局職員として、総務課、デジタル化推進室、危機管理課職員に対して職員としての併任を行い、私が事務局の職長として選挙管理委員会の権限に属する事務の処理を行っておるところです。 日本国憲法及び公職選挙法に定める選挙制度に関する基本原則を踏まえて、適正な選挙執行を第一に考え、選挙事務全般の運営に当たっているところです。
質問(2)「代理投票」「郵便等による不在者投票」「病院や施設等での不在者投票」とはどのようなものか。また、本市では対象となる方にどのように周知しているのか。
答弁(2)代理投票等についてですが、まず、それぞれの制度について御説明いたします。
代理投票は、投票用紙に御自身で記入できない選挙人の方のための制度でございます。投票管理者に申し出ると、管理者が補助者2名を指名し、そのうち1名が選挙人の指示に従って投票用紙に記入を行い、もう1名が指示どおりに記入されているかどうかを確認するといった制度でございます。
郵便投票は、不在者投票制度の一つで、身体に重度の障がいがあり投票所に行けない選挙人が郵便を使って投票する制度でございます。対象者の方は身体障害者手帳か戦傷病者手帳を持っておられる方で、一定の障がいがある方、または介護保険の要介護状態区分が要介護5の方が対象となります。事前に選挙管理委員会による郵便等投票証明書の交付手続が必要となってまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症で療養などをしておられる方で、一定の要件に該当される方は、特例で郵便投票ができることとなっております。
病院や施設での投票も不在者投票制度の一つですが、県選挙管理委員会が指定した病院や施設に入院、入所しておられる方で歩行が困難な方は、その病院施設で不在者投票ができることとなっております。
周知につきましては、いずれの制度も選挙執行時の広報等で行っておるところでございます。
質問(3)投票所、期日前投票所のバリアフリー化等、障がいのある方が投票しやすいように、本市ではどのような対応を行っているのか。
答弁(3)投票所、期日前投票所のバリアフリー化についてお答えします。
現在、期日前投票所は、市役所、大島行政センター、サンリブ宗像の3か所、当日投票所は、コミュニティセンターや学校のほか、保育園等の民間施設も借りて22か所を設置しています。
施設によっては、構造上やむを得ない段差があるため、それぞれの施設に合わせたスロープを設置するなどして段差解消等に努めております。また、施設的な段差解消に加えて、選挙事務従事者には事前研修などを行い、障がいのある方への対応として、代理投票や点字投票にも速やかに対応できるようにしているところです。
質問(4)障がいのある方が投票しやすい環境を整備するため、各地の自治体で投票所の係員に向けた応対マニュアルをつくる動きがある。本市の対応は。
答弁(4)係員の対応マニュアルについてですが、現在は選挙の執行、適正に対する事務的な手続を中心としたマニュアルを作成しておりますが、議員御指摘のような、障がいのある方の投票環境に対応したマニュアルは作成しておりません。
質問(5)本年4月の市長選挙からサンリブくりえいと宗像に期日前投票所が設置されているが、この投票所を投票日当日に投票区にかかわらず誰でも投票できる「共通投票所」とすることは検討できないか。
答弁(5)サンリブくりえいとへの共通投票所の設置についてお答えします。
御存じのとおり、今年4月の市長選挙で、初めて期日前投票所をサンリブくりえいと宗像に2日間開設し、7月の参議院選挙では4日間開設したところです。いずれの選挙でも1日平均1,000人以上の来場があり、比較的若い世代の利用が多いなど、期日前投票者の増加、投票の利便性向上に寄与していると考えております。
しかしながら、設置場所、スペースに限りがあるため、衆議院選挙のように3区分以上の選挙や今以上に来場者が増えた場合の対応、職員体制などにも課題も残っており、今後の選挙執行時の期日前投票所としての在り方についても検討の必要があると考えております。
議員御提案の共通投票所につきましては、投票日当日に投票区に関わらず誰でも投票できるということで、利便性は向上すると考えます。しかしながら、先ほど申し上げた期日前投票所での課題もあり、現在の当日投票所の統廃合なども含め、総合的に課題を整理しながら、今後の設置について研究、検討してまいるところです。
質問(6)選挙公営制度は、お金のかからない選挙のため、また候補者間の選挙運動の機会均等を図るために採用されている制度である。
①本市で実施している選挙公営の内容は。
答弁(6)①本市で実施している選挙公営の内容につきましては、宗像市の議会の議員及び長の選挙に関するおける選挙運動用自動車の使用及び選挙運動用ポスターの作成の公営に関する条例において、選挙運動用自動車費用とポスターの作成費用を公費負担することを定めております。市長選挙、市議会議員選挙共に、法に定める基準に沿って単価を上限としており、現在のところ、借入れの場合の自動車費用は最高で25万1,020円、ポスター作成費用は最高で40万1,360円が公費負担となっております。
②平成29年6月、公職選挙法の一部を改正する法律が成立し、平成31年3月1日から市議会議員選挙において、候補者の政策等を有権者が知る機会を拡充するため、候補者が選挙運動のためのビラを頒布することができることとなった。また、費用負担については「条例で定めるところにより、ビラの作成について無料とすることができる」となっているが、本市の対応は。
答弁(6)②ビラの作成に対する本市の対応につきましては、議員御指摘のとおり、平成29年に公職選挙法が改正され、市議会議員選挙においても、ビラの作成について条例で定めれば公費負担することができるようになりました。
本市においても当時検討を行いましたが、平成29年当時、既に公職選挙法で公費負担が認められていた市長の選挙においてもビラ作成を公費負担としていなかったことから、他自治体の状況も踏まえ、ビラの作成の公費負担を見送ったという経緯がございます。
市といたしましては、候補者の政策等を有権者が知る機会を拡充するといったことを目的とした平成29年の法改正の趣旨も踏まえつつ、限られた財源を何にどのように充てていくのか、引き続き検討してまいります。
※選挙運動用ビラは令和5年第4回(12月)定例会に議案「宗像市の議会の議員及び長の選挙における選挙運動用自動車の使用及び選挙運動用ポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例について」が提出され、議会の審議の結果、令和6年10月の宗像市議会議員選挙より公費により選挙運動用ビラが作成できることになりました。
志ある方が誰でも選挙に立候補できるようになることの一助になると考えます。